愛する弟の突然死によって・・・

あれから、もう1年2ヶ月、まるでなにごともなかったかのように

 時がすぎてゆく。しかし私の脳裏には一年前の出来事が今でも

 生々しく、記憶されていてそれが私を苦しめる。

 弟は48歳という年齢まで、独身で職業はタクシー運転手

 まじめだけがとりえの弟だった。子供の頃親に苦労をかけた

 母に親孝行がしたくてマイホームを購入し、母と二人暮らし

 の平凡な毎日を過ごしていた。その母が5年前に突然他界し

 父を早くに亡くしていた私たちには、母がけが頼りだったのに

 私も弟もショックだった、もう私には弟しかいない

 弟には元気で長生きしてもらわんと・・母の分まで・・

 そう思っていたのに・・・さらに弟までもが突然死、なぜ?

 なぜ弟が48歳の若さで逝かないといけないのだろう・・・

 悲しみは今もなお私の心に波打っている

 あの時、弟の勤務先から電話があった

 (お姉さんですか、実は弟さんが何日も無断欠勤してるんで

 ちょっと心配になりましてお電話しました)

 と同時にすーと血の気が引いたように不吉な予感とともに

 実家に駆けつけた、(僕も行く)ちょうど3男がいて

 いっしょに行き、実家のドアーを空けたとたん

 すごい鼻を突く匂いがして、ただならぬ気配を感じた

 と同時に仰向けになっている弟がいた、全身真っ黒な

 状態で、何がなんだかわからずあわてて警察に電話した

 電話の最中も自分で何を言ってるかわからないほどに

 取り乱していて、(落ち着いてください、ゆっくりでいいので

 落ち着いてお話ください)の声に呼吸の乱れそうになるのを

 抑えて話したのを思い出す。

 すぐに警察の方たちが来て弟の遺体を、警察署へと移動した

 一応解剖して、死亡原因を調べるためだということだった

 数時間があっという間にすぎ、事件でも事故でもないことが

 わかり、弟の遺体は葬儀社に渡された

 けど、葬儀費用がなくてパニック寸前であった

 我が家の経済に余裕などまったくない状態で、しかも

 弟も母が亡くなった後、家のローン返済で大変だったらしく

 郵便物も督促状の山だった

 状況が状況だけに、普通の葬式はできなくて遺体は早急に

 火葬場へと向かい、本当にあっという間の出来事だった

 最小限のお世話になった方々や身内だけのさびしい葬式だった

 それでも必要最低限の葬儀費用は、払わないといけない

 我が家の生活費のほとんどをそれに当てたのが今でも

 引きずっていて、どん底のような生活が続く

 毎月の支払いが遅れ遅れになって、ついにガスが

 止まってしまった、暑い日々だから水シャワーも

 逆に、いいかもね・・・開き直りながら

 40日間水風呂で過ごした、弟は一人でもっと

 大変な思いをず〜としてきたのかと思うと

 こんなことぐらい、どうと言うことはなかった

 ただ、もう少し早くに気がついて、一緒に住んでいたら

 こんなことにはならなかったのではないか

 悔やまれてならない、気がつくと自分を責めている

 私がいる、夜が眠れない、夜が怖い

 涙があふれて止まらない・・・とうとう私は一人に

 なってしまった、こんなことが次々と脳裏を掠めて

 私を苦しめた一年だった。ショック死という言葉が

 あるが、どうも私の脳がおかしい、あの時以来

 記憶障害が起こったようで、まったく記憶が飛んでしまう

 ことがしばしば・・・いつも人のために祈ってきた

 私が今自分のことのために祈っている

 この記憶障害を癒してほしいと・・・