パキスタン地震情報

パキスタン地震>発生から1週間 被害の全ぼう把握できず

 【イスラマバード藤田悟】パキスタン地震は14日で発生から7日目を迎えたが、道路寸断によって孤立した被災地が各地に残り、被害の全ぼうは把握できないままだ。十分な支援も行き届かず、約250万人とされる家を失った被災者はこれから冬を迎える気候の下で、極めて過酷な状況に置かれている。
 パキスタン政府が把握しただけで死者は2万5000人に達するが、崩壊した建物の下敷きになったままの住民はまだ数千人以上いるとみられ、実際の犠牲者はさらに多いとみられる。
 最大の被災地、アザド・カシミール州の州都ムザファラバードでは、国際機関や非政府組織(NGO)による支援物資の量は増えつつある。しかし、到着したトラックに住民たちが群がって物資を奪い合い、体が弱った人たちには物資が届かない状況だ。
 各所で山崩れが発生した山間部の村では多数の負傷者が取り残され、いまだに救助の手が及ばない。政府当局者はテントや毛布が不足していることを認め、日々寒さが増す中で、山間部で生き残った被災者が生存の危機に脅かされている。
 救援活動には調整不足も目立ち、被災地の救援担当者が生存者救出活動の打ち切りを表明した後、軍がこれを否定するなど混乱が続いている。被災地では政府に対する不満が高まっている。
 アザド・カシミール州では、学校や病院など公共施設の倒壊による犠牲者が多く、建築物の強度に一定の基準を設ける必要性が指摘されている。国際協力機構(JICA)派遣の楢原覚さん父子が死亡した高層アパート「マルガラ・タワー」の倒壊原因については、警察当局が建物に欠陥があったとみて捜査している。
毎日新聞) - 10月14日18時49分更新